第1章で触れたとおり、Splunkの中核製品にはオンプレミス版のSplunk Enterpriseと、 SaaS版のSplunk Cloud(正式にはSplunk Cloud Platform)があります。 この節では、SaaSとしてのSplunk Cloudがどのような特徴を持つのかを、 オンプレ版と対比しながら整理します。
1. SaaSとしての特徴
Splunk Cloudは、Splunk社が運用するクラウド上でSplunkの機能を サービスとして提供するSaaS(Software as a Service)です。 最大の特徴は、これまで見てきたIndexerやSearch Headといったサーバーの構築・運用を 利用者自身が行わなくてよい点にあります。
- サーバーの調達・構築・維持といったインフラ運用をSplunk社が担う
- バージョンのアップグレードが自動的に行われる
- 利用者はブラウザからログインし、データの取り込みや検索・可視化に集中できる
その結果、利用者は「Splunkをどう使うか」に注力でき、 「Splunkをどう動かし続けるか」という運用負担を大きく減らせます。
2. 内部で利用するクラウドベンダー
Splunk Cloudは、その基盤として大手クラウドベンダーのインフラを利用しています。 具体的にはAWS(Amazon Web Services)や GCP(Google Cloud Platform)といったパブリッククラウド上で サービスが動作しています。
利用者はこれらの基盤を直接意識する必要はほとんどありません。 ただし、どのクラウド基盤・どの地域が利用できるかは、契約時の選択や提供状況によって 決まる点は知っておくとよいでしょう。
3. 利用可能なリージョンの考え方
クラウドサービスでは、サービスが稼働する地理的な拠点をリージョン(region)と 呼びます。Splunk Cloudでも、どのリージョンで利用するかを選ぶことになります。 リージョンの選択は、次のような観点から重要です。
- データの所在地 ― 法令や社内規定でデータを保管する国・地域が定められている場合がある
- ネットワークの近さ ― 利用者やデータ発生元に近いリージョンほど遅延を抑えやすい
そのため、利用者の所在地やデータ保管に関する要件に合わせて、適切なリージョンを選定します。
4. オンプレEnterpriseとの違い
Splunk CloudとSplunk Enterpriseは、SPLやダッシュボードなど「Splunkとしての使い方」は 基本的に共通しています。大きく異なるのは運用の責任範囲です。
| 観点 | Splunk Cloud(SaaS) | Splunk Enterprise(オンプレ) |
|---|---|---|
| インフラ運用 | Splunk社が担当 | 利用者が自ら構築・運用 |
| アップグレード | 自動的に実施される | 利用者が計画・実施する |
| 導入の柔軟性 | 提供メニューの範囲で利用 | 自社環境に合わせて自由に構成できる |
5. まとめ
- Splunk CloudはSaaS版で、サーバーのインフラ運用をSplunk社が担う
- アップグレードは自動で行われ、利用者は使うことに集中できる
- 基盤にはAWSやGCPといったパブリッククラウドが利用されている
- データの所在地やネットワークの近さを踏まえてリージョンを選ぶ
- オンプレEnterpriseとの主な違いは「運用の責任範囲」にある