はじめてのSplunk ― 概要から応用までを体系的に学ぶ

2-6 Splunk Cloudの基本

第1章で触れたとおり、Splunkの中核製品にはオンプレミス版のSplunk Enterpriseと、 SaaS版のSplunk Cloud(正式にはSplunk Cloud Platform)があります。 この節では、SaaSとしてのSplunk Cloudがどのような特徴を持つのかを、 オンプレ版と対比しながら整理します。

1. SaaSとしての特徴

Splunk Cloudは、Splunk社が運用するクラウド上でSplunkの機能を サービスとして提供するSaaS(Software as a Service)です。 最大の特徴は、これまで見てきたIndexerやSearch Headといったサーバーの構築・運用を 利用者自身が行わなくてよい点にあります。

  • サーバーの調達・構築・維持といったインフラ運用をSplunk社が担う
  • バージョンのアップグレードが自動的に行われる
  • 利用者はブラウザからログインし、データの取り込みや検索・可視化に集中できる

その結果、利用者は「Splunkをどう使うか」に注力でき、 「Splunkをどう動かし続けるか」という運用負担を大きく減らせます。

2. 内部で利用するクラウドベンダー

Splunk Cloudは、その基盤として大手クラウドベンダーのインフラを利用しています。 具体的にはAWS(Amazon Web Services)や GCP(Google Cloud Platform)といったパブリッククラウド上で サービスが動作しています。

利用者はこれらの基盤を直接意識する必要はほとんどありません。 ただし、どのクラウド基盤・どの地域が利用できるかは、契約時の選択や提供状況によって 決まる点は知っておくとよいでしょう。

3. 利用可能なリージョンの考え方

クラウドサービスでは、サービスが稼働する地理的な拠点をリージョン(region)と 呼びます。Splunk Cloudでも、どのリージョンで利用するかを選ぶことになります。 リージョンの選択は、次のような観点から重要です。

  • データの所在地 ― 法令や社内規定でデータを保管する国・地域が定められている場合がある
  • ネットワークの近さ ― 利用者やデータ発生元に近いリージョンほど遅延を抑えやすい

そのため、利用者の所在地やデータ保管に関する要件に合わせて、適切なリージョンを選定します。

4. オンプレEnterpriseとの違い

Splunk CloudとSplunk Enterpriseは、SPLやダッシュボードなど「Splunkとしての使い方」は 基本的に共通しています。大きく異なるのは運用の責任範囲です。

観点 Splunk Cloud(SaaS) Splunk Enterprise(オンプレ)
インフラ運用 Splunk社が担当 利用者が自ら構築・運用
アップグレード 自動的に実施される 利用者が計画・実施する
導入の柔軟性 提供メニューの範囲で利用 自社環境に合わせて自由に構成できる

5. まとめ

  • Splunk CloudはSaaS版で、サーバーのインフラ運用をSplunk社が担う
  • アップグレードは自動で行われ、利用者は使うことに集中できる
  • 基盤にはAWSやGCPといったパブリッククラウドが利用されている
  • データの所在地やネットワークの近さを踏まえてリージョンを選ぶ
  • オンプレEnterpriseとの主な違いは「運用の責任範囲」にある